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子どもの頃に養育者から受けた不適切な関わりは、その後の生き方に大きな影響をもたらします。例えば、自分のことを好きになれなかったり、些細なことで怒ったり物事を被害的に受け取りやすいこと等が知られています。彼らには「こころの傷」を癒し、日々の生活を「楽しめる」ような育ちなおしの支援が大切になります。また、現在は施設養育から里親養育への転換期です。施設より里親家庭で育つほうが良いというイメージはありますが、実際には子どもが示す様々な症状に里親個人で対応することは大変です。真実告知などのテーマも含めて、子どもと養育者(里親・施設職員)がより良く育ち合える方法について研究しています。

「障害」は乗り越えるべきものだ、という考え方があるかもしれません。しかしそれは、あまり現実的なことではないと思います。例えば、私には聴覚障害がありますが、努力や治療では聞こえるようにはなりません。むしろ、そのような状態だから「障害」なのであり、克服するような対象ではないのです。自分にとっては「在り続けるもの」として理解しています。同様に、出来なさや弱さについても改善すべきだという考えの裏には、そのままではダメだ・価値がないという意識が潜んでいるような気がします。否定ではなく肯定を大切にしながら、達成感のある支援の在り方を研究しています。

日本における子育ての課題として、ひとり親家庭やワンオペ育児における余裕のなさや保育園に入園できるかどうか等のトピックスがあります。これらの解決はもちろん大切ですが、そこには国内で暮らす外国人労働者の家庭も視野に入れるべきではないでしょうか。彼らの子どものなかには母国語しか話せずに地域で孤立していたり、逆に日本語しか話せずに家族内のコミュニケーションがうまく出来ない場合があります。進学や就労における困難さも指摘されており、その健やかな育ちを保証することは急務の課題です。少子高齢化と国際化がすすむなかで求められる今後の児童福祉について研究します。

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2024.03