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磁石というと、鉄や希土類をもちいた磁石がよく知られており無機磁石に分類されます。私たちは無機磁石に限定をせずに、分子レベルでの構造と磁気特性の関係性について研究を深めていきます。たとえば、強磁性体は、転移温度以下で磁区内のスピンが全て平行に揃うことで自発磁化を示し磁石になります。一方、単分子磁石は、分子内のスピンは揃っているが分子間の磁気相互作用が無視できるほど弱いため、分子一つが磁石となる単磁区磁石と考えられます。単分子磁石は磁性微粒子などの超常磁性体と異なり、決った金属イオン数と秩序ある磁気構造を持っているため、その分子内で起こるさまざまな現象についても考えることが必要です。

金属錯体を含む分子磁性体は金属イオンのdやf軌道、および分子軌道を占めるsやp軌道のスピン自由度が起源となり磁気物性を発現します。また、次元性に応じて磁気特性や量子効果などさまざまに変化することも魅力の一つです。私たちは電子状態の多様な金属イオンと配位子を組み合わせることで、金属錯体の電子状態・配位子場・磁気異方性の制御を行い、0次元~3次元構造と磁気特性の関係および機能性磁石の開発を目指します。

スピンの挙動をみてみると、3次元であらゆる方向を向くことができる状態は等方的スピンになります。この状態は常磁性体で、磁石ではありません。この等方的スピンに対して適切な配位子場を導入することで、一方向のみにスピンが向く、一軸磁気異方性を作り出すことができます。これによって、一つの金属イオンでも磁石となる単分子磁石の合成が可能となります。私たちは分子レベルでスピン状態を制御するために分子設計をおこない、磁気特性の向上だけでなく、電圧や光などさまざまな外場に応答する機能化も目指します。

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2024.03