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プロフェッサー 城西大学
理学部 化学科 森田 勇人構造生物科学/タンパク質工学/核磁気共鳴分光/振動円二色性分光 -
ナビゲーター 修士2年生 水出 光哉さん ※学年は取材当時
研究内容を 大まかにまとめると
研究内容を もっと詳しく!
好冷性藻類が北極海で生きていける理由
生物が環境に適応する機構は簡単にいうと、その環境要因となっている物理的因子(例えば、温度や重金属イオン濃度、pHなど)の変化を専用のタンパク質で検出し、その変化を打ち消すように様々な生体物質が他内で合成されるということです。たとえば、北極海などの非常に水温の低い環境下で生きている藍色細菌は、細胞内でのタンパク質合成に使われるRNA分子が絡まりあってしまうのを防ぐためのタンパク質を体内で合成しています。その分子の立体構造を核磁気共鳴分光法とディープニューラルネットワーク法(DNN法;機械化学習法の一つ)とを組み合わせて半年以内で決定することに成功しました。
ハイスループットな卵細胞のゲノム編集技術開発
エレクトロポレーション法は、細胞へDNAやタンパク質を導入する手法として古くから用いられてきていますが、これまでは、印加する電気的エネルギーを制御する技術が十分ではなく、卵細胞のような巨大な細胞へ大きなダメージを与えずに、DNAやタンパク質を導入することは困難でした。昨今実用化が進んだゲノム編集技術では、タンパク質とDNAを同時に卵細胞へ導入することで部位特異的変異導入を行うことができるようになってきており、この目的を達成するために本研究では、パルスジェネレータの技術を応用したエレクトロポレータを利用したタンパク質ーDNA複合体の卵細胞への効率的導入技術の開発を両生類の卵を対象に進めています。
ナノスケールでの回路設計技術の確立に向けて
現在産業分野で利用されているフォトリソグラフィーによる集積回路設計技術においては、数マイクロのスケールが主流となっています。一方で、生体物質であるDNAは、これまでの研究から、その直径が数ナノメータであるにもかかわらず、1m当たりの抵抗値が数オームしかないものもあることがわかってきており、フォトリソグラフィーを超える高密度集積回路の配線材料としての期待が高まっています。私たちは、本学理学部化学科の機能材料分析研究室と共同で、このような特徴をもつDNAをナノスケールでの配線材料として利用するための基礎技術の開発に取り組んでいます。