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プロフェッサー 城西大学
薬学部 薬学科 井上 裕(教授)医療薬学 -
ナビゲーター 5年 Y.Kさん & M.Sさん ※学年は取材当時
研究内容を 大まかにまとめると
研究内容を もっと詳しく!
患者さんや住民の健康に近づけるための栄養が前輪、薬が後輪であることを理解する
疾病の予防や病態の改善につなげる食品の選択と摂取方法を健常人や患者で比較検討することによって、薬と食を融合させた新たな栄養・薬物治療法を確立が必要です。例えば、日頃の食事をとると、血糖値が気になる方もいますね。血糖値とは、血液中に含まれるグルコース(ブドウ糖)の濃度です。糖分はヒトの活動エネルギー源となるいっぽうで、高血糖はさまざまな疾病の原因ともなるので、ヒトの血糖値は一定の値に保たれていることが大切です。つまり、摂取食事の順番も影響します。また、摂取する糖質の質も血糖値には影響します。健康サポートできる薬剤師の礎になる研究と思います。
無限の可能性を秘めたシクロデキストリンによる食品・医薬品成分とのハイブリット製剤
安全で有効な薬物治療を遂行するためには、薬物として医薬品や栄養素の溶解性や安定性の向上を目指した製剤学的工夫をすることによって、新規投与経路の探索をします。また、我々の研究室は、グルコースが環状に形成したシクロデキストリンを用いて、医薬品や食品栄養素の機能付加を研究しています。シクロデキストリンは応用研究の一つに医薬品、機能性食品分野におけるナノテクノロジーの革命ともいえる「シクロデキストリンを用いた分子カプセル化法による脂溶性薬物の溶解性改善と生体内利用の向上」があり、多くの研究者に注目されています。この環状グルコースであるシクロでキストリンに夢を封入してみませんか?
地域高齢者社会におけるフレイル・転倒防止対策の検討を考える
現在、65歳以上の高齢者は、国民の約25%以上を占める時代です。高齢になるとフレイル(フレイルとは、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」)になる傾向があり、生活の質を落とすだけでなく、さまざまな合併症を引き起こす危険性があります。生活の質を保つためには、高齢の方の転倒リスクの原因を知る必要があります。身体の筋肉の衰えや薬物の多剤服用は転倒リスクを高まることが近年報告されています。そこで、研究室として、学生とともに地域薬剤師や多医療従事者と連携を行い、地域における健康予防、対策や医療安全を考えることで、将来、地域に「一隅を照らす」薬剤師の活動を模索しています。