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グラム陰性細菌の菌体表面は、リポ多糖(Lipopolysaccharide, LPS)と言う糖脂質で覆われ、その構造は個々の細菌で異なっています。いわば細菌の「顔」なのです。細菌がヒトの体内に入ると異物として認識されて殺菌・除去されますが、この「顔」が認識の対象となります。細菌の「顔」は、O抗原と呼ばれ、感染症が起こった際に感染源をたどる疫学調査に利用されています。そればかりか、このO抗原は細菌の再感染を阻止する抗菌抗体をもたらすことから、ワクチンとしての利用も期待されます。まさに、細菌の「顔」を特定することは、正確な検査試薬やワクチンの開発につなります。

エジプトのミイラは、死後もその姿を残し永遠の存在を示すために作られたとされます。その製作には、植物性の抽出液を防腐剤として使用していたことが証明されています。この防腐剤は、現代に言う香料成分に相当します。人類は、紀元前から香料を抗菌物質として経験的に利用してきたのです。私たちは、植物、動物、鉱物を材料とする精油成分である香料の抗菌作用を科学的に解析して、消毒薬としての応用を目指します。さらに、香料は、薬が効かない細菌「薬剤耐性菌」に作用することで、効かなくなった抗菌薬が再び効果を示す様になることがわかりました。この様に、感染症の予防と治療への応用に向けた香料の持つ可能性を探求しています。

感染症治療のために抗菌薬を使うと必ず薬剤耐性菌が現れます。抗菌薬そのものと体の中に現れた薬剤耐性菌は、体外に排泄され結果として環境を汚染します。この様な抗菌薬と薬剤耐性菌の環境への広がりが、世界的な規模で問題視されています。私たちは、埼玉西部地域を流域とする河川を対象に、生息する大腸菌の薬剤耐性化動向を調査し、その情報を社会に還元する研究を進めています。薬剤師は、抗菌薬使用の適正化を図り、薬剤耐性菌の発生を最小限に抑える重要な使命を担います。環境に広がる薬剤耐性菌が我々にどの様に影響し、その影響をどの様に回避するのか、広く「薬剤耐性菌」を監視することも薬剤師の使命と考えています。

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