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プロフェッサー 城西大学
薬学部 薬学科 夏目 秀視薬剤学 -
ナビゲーター 6年生 畑中 英樹さん ※学年は取材当時
研究内容を 大まかにまとめると
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体の中に吸収されにくい薬の吸収を改善する方法の開発
医療現場で使用されているほとんどの薬は、経口摂取が可能です。しかし、一部のお薬、例えば血糖値を下げるインスリンというお薬は注射をします。なぜ、経口摂取による投与が行われていないかというと、薬の分子量が大きいため、小腸粘膜からわずかにしか吸収されません。そのため、十分に薬として作用を発揮することができません。このようなことを改善するために、吸収促進剤を利用します。吸収促進剤を利用することで吸収がほとんどされない薬が吸収されやすくなります。しかし、吸収促進剤はどのように薬の吸収を良くしているのかまだ分かっていません。そこで、当研究室では、吸収促進剤の吸収促進メカニズムを詳細に調査・解析しています。
鼻に投与した薬の脳への直接移行に関する調査
超高齢社会を迎えた我が国において、精神疾患の患者は年々増加しています。精神疾患の治療は社会的に重要な課題であり、脳で効果を示す薬の必要性が高まっています。しかし、脳には血液中の物質が自由に移行しない仕組みがあるため、薬理学的に有効な薬であっても医薬品として市販できないこともあります。この脳への移行の制限を回避し、素早い作用発現や副作用の軽減が期待できる経鼻投与に着目しました。鼻と脳は解剖学的に近接しており、鼻に投与した薬は脳に直接移行することが知られていますが、どのような性質の薬が鼻から脳へ直接移行しやすいのかはあまり研究されていません。当研究室ではこの点について詳細に調査しています。
ナノテクノロジーを用いた核酸医薬の標的細胞内送達システムの開発
近年、DNAやRNAといった機能性核酸等も薬として捉え、各種疾病を治療する次世代先端医療・薬物療法の開発が進められています。これらは特に癌やエイズ等の難治疾患に対する新規治療法として大いに期待されています。しかし、どんなに有望な物質であっても、それらを必要な時に、必要な部位に送達できなければ、薬効を発揮できないばかりか副作用を招く可能性があり、薬として利用するには断念せざるを得ません。特に機能性核酸においては、標的細胞内に送達することが重要となります。本研究では近年進展が著しいナノテクノロジーを用いて、有用性と安全性を兼ね備えた核酸医薬の新規標的細胞内送達システムの開発を目的としています。