研究内容を 大まかにまとめると

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脳梗塞は脳血管が血栓によって閉塞して起こる病気で、死亡率が高く、発症率も年々増加しています。その発作は突然起こるため、処置が遅れてしまい、半身マヒなどの重い後遺症が残る患者さんがたくさんいます。そこで私たちは、脳梗塞発症前からの予防投与によって、発作時に脳を保護する新たな予防的治療薬が必要であると考え、天然低分子化合物であるフェルラ酸の誘導体をデザインし、その脳保護効果について研究してきました。これまでに、誘導体の一つ、FAD012の予防投与が、実験的な脳梗塞時の血流低下を防ぎ、脳のダメージを軽減することを見出しています。FAD012は脳梗塞に対する安全性の高い予防的治療薬として期待されます。

現代のストレス社会において、うつ病に苦しむ人々は年々増加しており、効果的な予防・治療対策が望まれています。私たちは、ウコンに含まれるクルクミンが抗うつ作用をはじめ、多彩な薬効を示す化合物であることに着目し、さらにその効果を高めた誘導体の創出に取り組んでいます。うつに対する薬の効果を判定する場合、ヒトでは問診などを用いますが、マウスやラット等の実験動物では会話によって気分を確かめることが出来ませんので、動物の行動から薬の効果を推察します。これまでに、既存の抗うつ薬よりも低用量で効果を示すクルクミン誘導体が複数見つかっており、現在、これらの詳しい作用メカニズムについて検討を進めています。

抗がん剤治療による食欲不振、吐き気、下痢、脱毛などの副作用は、がん患者への身体的・精神的な負担を増大し、臨床上の大きな問題となっています。これを解決するために、私たちは古くから日常生活に取り入れられてきた漢方薬に注目しました。漢方薬に含まれる天然物由来物質およびその誘導体は、正常細胞に及ぼす影響が少なく、抗がん剤の効果を増強することでその投与量を減らし、副作用を軽減する可能性が期待されています。私たちは、このような漢方薬由来の化合物と既存の抗がん剤との併用による抗がん作用の増強メカニズムに着目し、がん細胞およびがん動物モデルを用いた新たながん治療法の研究・開発に取り組んでいます。

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2024.03