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シェイクスピアが活躍した16世紀後半から17世紀前半は、「大陸」の優れた絵画や文学が英国に伝えられ、シェイクスピアはそれらを英訳などで学んで取り入れ、『アントニーとクレオパトラ』や『ロミオとジュリエット』などの劇、『ヴィーナスとアドーニス』などの長詩を書きました。彼はそれらをそのまま利用するのではなく、独自の視点で変容しています。たとえば、もとはイタリアの散文で親の反対する結婚を戒めた道徳的な『ロミオとジュリエット』は、愛が死に打ち勝つ真を訴えた劇に昇華されています。こうした受容と変容をテクストの精読によって学んでいます。

エンブレムは、ルネサンスに誕生した図像と図像を説明した詩文からなる言語と視覚が合体したジャンルです。当時の文学を読み解くのに、エンブレムブック中のイメージを適用すると、新たな解釈が生まれる可能性が大いにあります。たとえば、ルネサンス美術で人気だった〈チャンスの女神〉〔Occasio、ジョージ・ウィザー著『古今エンブレム集』(1635年)より(上図参照)〕 は、絵画だけでなく、シェイクスピアのセリフにも言及されます。ゼミでもルネサンス期の版画、絵画や建築といった視覚文化を紹介して、詩や劇と比較することで、「読む」だけでない、ヴィジュアル・イメージからも文学にアプローチしています。

ゼミでは、シェイクスピアだけでなく、その他の文学作品や文化をテーマに卒業論文を書く人もいます。たとえば、『赤毛のアン』では、『ロミオとジュリエット』などに言及されます。また、ハリー・ポッターシリーズのハーマイオニーは、シェイクスピアの『冬物語』の忍耐強いヒロインの名前でもあります。シェイクスピアを通して21世紀までの文学や文化の伝統を知り、各自の学びを深めていきます。3,4年生一緒にゼミをしており、互いの考えを発表しあうことで、英語力と共にコミュニケーション力も上がります。このことは、ゼミ生たちがエアラインなど人気の企業に毎年就職していくことにつながっていると思います。

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2023.02