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プロフェッサー 東京農業大学 北海道オホーツクキャンパス
生物産業学部 海洋水産学科 福井 翔魚類の生態、進化、保全 -
ナビゲーター 修士1年 竹澤 歩人さん ※学年は取材当時
研究内容を 大まかにまとめると
研究内容を もっと詳しく!
フィールドに出て、対象魚類のDNAサンプルを集める!
我々の研究室では、学生自身がフィールドに出て、対象種であるサケ科魚類がどんな環境に生息しているのか?どういった場所で交雑問題が生じているのか?を自分の目で見て体験しています。研究テーマによって、様々な調査方法がありますが、DNAサンプルの採集には、電気ショッカーを用いることが多いです。電気ショッカーは、川に電気を流し、魚を一時的に麻痺させることで、たも網を使って効率的に魚を集めることができます。電気ショッカーによって、魚が死亡することはほとんどありません。DNAサンプルは、鰭の一部(5mm四方)があれば十分なので、DNAサンプルを採集した魚は川へリリースしています。
フィールドワークで集めた野外データやDNAサンプルを分析する!
とっても楽しいフィールドワークの後は、野外で集めたデータやサンプルを研究室で整理・分析しなくてはなりません。作業自体は、フィールドワークよりも地味ですが、野外で集めた貴重なデータやサンプルを発表・論文化する上で、とても大切な工程になります。私の主な作業は、DNA分析になるので、実験室でマイクロピペットなどの実験器具を使って、野外で集めたサンプルのDNAの抽出と分析作業を行っています。結果が出るまでは、実験が成功しているか、失敗しているかドキドキですが、上手く結果が出た時は嬉しく思うことも多々あります。学生によっては、魚の胃内容物を調べたり、研究テーマによって作業は様々です。
フィールドワークとDNA分析から集めた情報をデータ化する!
フィールドワーク、研究室での野外データの整理、DNA分析が終わると、やっと解析に移ります。DNA分析の結果と野外データの分析結果を擦り合わせ、どのような野外条件で外来魚と在来魚の交雑が頻繁に生じるのか?どこに外来魚と在来魚が多く生息しているのか?などを調べていくことで、どういった場所から優先的に保全対策をとる必要があるのかを明らかにすることができます。学生ごとに卒論テーマが異なるので、結果の示し方や考察も異なります。しかし、研究室の学生全員が「生態、進化、保全」を共通のテーマとしているため、違うテーマでも部分的な共通点が見つかることも多々あり、学生同士で知見を深めるきっかけにもなります。