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例えば、アイドルという存在はメディアなくして存在しません。テレビが不可欠だった時代もあれば、現在はSNSなしでは存在できないわけです。テレビ時代のアイドルとSNS時代のアイドルとでは、ファンのでき方やファンとの距離感が全く違います。テレビ時代のアイドルは、どこか遠い存在だったのですが、現在ではかなり身近になっています。これはSNSの果たす役割が大きくなったためです。一人ひとりがSNSを使用する現在は、かつてのような国民的アイドルが生まれないメディア的構造があるわけです。 ファンにとってアイドルがどのような存在なのかは、メディアによって変化するということです。

3年生の時は、カメラ/写真について研究しました。19世紀に発明されたカメラが、私たちが持つスマホ・カメラに変化してきたことで、写真の持つ意味や被写体のあり方が大きく変化したことを学びました。偉人だけが写真に特定のポーズを決めて写真に納まる時代と、誰もが様々なポーズで写りシェアされる時代では、当然ながら写真の持つ意味が異なります。カメラというテクノロジーが、写真の持つ意味を変化させたのです。これを踏まえて、私たちは自分たちの写真展まで開催してしまいました。自分のスタンスを決めて社会・対象と向き合い、カメラ/写真というメディア・テクノロジーに固有の特徴を引き出しました(上の写真は私の作品です)。

卒業研究では、表現方法が多様化する「現代アート」が、アートとして評価される理由・条件と、美術館について考察しました。そして、グラフィティ・アーティストとして著名なバンクシーという作家とAIアートという全く新しい芸術を研究の対象としました。アートがアートとして承認される条件は、1つだけでなく、その他にも多様な条件の積み重なりがあることを知りました。アートが持つ意味は、作品そのものや作者の存在だけでなく、例えば、美術館という機関が作品と鑑賞者の間を媒介する社会制度やメディアであることを学びました。作品を鑑賞するためには、そのようなメディアや社会制度のことも知らなくてはならないのです。

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2023.02