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医薬品には経口剤(飲み薬)や外用剤(塗り薬や貼り薬など)など、薬を投与する経路によって様々な剤形があります。また近年は薬効が同一でありながら添加剤などの異なるジェネリック医薬品が普及していることから、外観では見分けがつかない様々な製剤のミクロな構造を詳細に解析することで、それぞれの特徴を明らかにすることが可能です。一例として、重症のアトピー性皮膚炎などに用いるタクロリムス軟膏について共焦点ラマンイメージングを行ったところ、軟膏の全体に主薬を含む液滴が均一に分散している様子を可視化できました。また、ある製剤では液滴のサイズが大きく、製剤の安定性(相分離)に懸念のあることが示唆されました。

錠剤に代表される経口剤は、患者さんが持ち運びできる最も利便性の高い剤形といえますが、小児や高齢者では服用しづらいことがあります。また、経口投与では薬物が全身を循環するため、効果を期待する患部以外にも薬物が届くことで副作用のリスクが生じます。そこで、皮膚に貼るだけで薬物が投与できるテープ剤を開発しています。一例として、乳児のいちご状血管腫(赤あざの一種)に用いられるプロプラノロール塩酸塩はシロップ剤として市販されていますが、テープ剤にすることで患部の周辺にだけ薬物を届けられるようにするとともに、あざの部分を覆える(隠せる)ようにしました。また、表面にイラストを印刷するなど工夫を重ねています。

古くから「良薬は口に苦し」と言いますが、乳幼児や小児にとって、服薬は病気の症状に加えて辛い行為といえます。咳や吐き気のあるときには特に、苦味や不快臭をもつ薬の服用は困難ですし、むせることでかえって症状を悪化させることすらあります。最近の調査では味覚に大きな個人差があり、甘味は必ずしも効果的でないことが分かってきました。そこで、基本的には薬を無味・無臭にすること、さらには家庭でも簡単にできるような工夫を考えています。一例として、海藻に含まれるアルギン酸ナトリウムを用いて粉薬のソフトカプセル化を試みたところ、直径3mm程度の球状製剤を調製することができました。

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2024.04