研究内容を 大まかにまとめると

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錠剤やカプセル剤などの薬は胃で溶解したのち、小腸で「吸収」され、肝臓を経由して全身を流れる血液に移行します。薬は血流にのって、体のさまざまな臓器に「分布」します。その過程で、薬は受容体などに結合し作用を発現します。一部は生体内の酵素によって「代謝」され、尿や糞中に「排泄」されます。有効で安全な薬とは、吸収・分布・代謝・排泄が良好にコントロールされ、病巣に薬が十分に到達し、有効性と安全性のバランスが良い物質です。薬の動きや変化を明らかにすることにより、効果や副作用を科学的に捉えることができます。

複数の薬を併用する場合、組み合わせによっては効果が低下することや副作用が現れることがあります。注意を必要とする組み合わせを明らかにすることは、適正な薬物治療には必要不可欠です。しかし、組み合わせを一つ一つ調べるには膨大な時間と手間がかかるので、注意を必要とする組み合わせを予測するための研究を進めています。具体的には、体内での薬の分解速度を変化させる薬や類似した薬が、どの程度分解速度を変化させるのか、血液中の薬物濃度をどの程度変化させるのか、についてを実験的に明らかにしています。

薬の効果や副作用は患者さんごとに異なります。原因の一つは、血液や組織における薬の濃度の違いです。これらの違いは、遺伝、併用薬、疾患、年齢、性別により生まれます。例えば、遺伝的に薬を分解する酵素が少ないヒトでは、酵素が多いヒトに比べて、同じ量の薬を服用したときに血液中の薬の濃度が高くなり、作用が強く出ることがあります。私たちは、薬の動きや変化に個人差が生じるメカニズムを研究し、適正な薬物治療と医薬品開発への貢献を目指しています。

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2024.04