研究内容を 大まかにまとめると

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生物がタンパク質をつくるためには、DNAからmRNAが合成(転写)され、mRNAからタンパク質が合成(翻訳)される必要があります。ここでmRNAの情報をタンパク質に変換する装置がリボソームです。リボソームは細胞の核内に存在する核小体と呼ばれる場所で合成されます。リボソームは80種類ほどのタンパク質と4種類のRNAが秩序だった順序で組み立てられる必要がありますが、がん細胞ではこの組み立てが通常より活発になり、その仕組みを研究することによりがんの予防や治療に役立ちます。私たちは、この仕組みを研究することで、タンパク質合成の基本原理を明らかにするとともに、疾患の克服を目指した研究を進めています。

ヒトの遺伝子情報が書き込まれたDNAは、コンパクトに折りたたまれた染色体という構造を取っています。染色体の両端は特徴的なDNA配列が繰り返し反復した構造をしており、これをテロメアと呼びます。テロメアDNAは細胞分裂に際してDNAが複製されるたびに短くなり、これが細胞の寿命や老化の要因となっています。またがん細胞では、テロメアを伸ばす酵素(テロメラーゼ)の働きによりテロメアDNAが短縮されず、がん細胞が無限に増殖する原因となっています。私たちはテロメラーゼが合成される仕組みを研究することで、過度なテロメアの短縮や伸長を防ぎ、老化やがん化の予防薬の開発に繋がる新たな発見を目指しています。

私たちの体(細胞)の中には、タンパク質に翻訳される翻訳型RNAであるmRNA以外に、タンパク質に翻訳されない非翻訳型RNAが無数に存在しています。代表的なものとして、選択的スプライシングで使用される低分子RNAや他のRNAに様々な機能を施すRNAなどがあり、いずれも細胞の生存に必須なものばかりです。これらの非翻訳型RNAに異常が生じた場合、細胞の恒常性に異常をきたし、がんや神経変性疾患を始めとした様々な病気の原因になることが分かっています。私たちは細胞の核内で働くU snRNAやsnoRNAといった非翻訳型RNAに着目し、それらが細胞内で正確に合成される仕組みを解き明かす研究を行っています。

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2024.04