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プロフェッサー 明治薬科大学
薬学部 薬学科/生命創薬科学科 植沢 芳広データサイエンス、計算毒性学、医薬品安全性学、薬剤学 -
ナビゲーター 研究室生さん ※学年は取材当時
研究内容を 大まかにまとめると
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人工知能による毒性・副作用の予測
医薬品は薬効を発揮するとともに、ときには副作用を起こすことがあります。これらの薬効・毒性・副作用といった生理活性は、医薬品に含まれている化合物の化学構造によって規定されていると考えることができます。化学構造を数値化し、生理活性との関係をモデル化する方法を定量的構造活性相関(QSAR)解析法と言います。わたしたちは、医薬品をはじめとする多様な化合物群の安全性を評価するために、人工知能を使ったQSAR解析によって薬効・毒性・副作用の発現メカニズムの解明に取り組んでいます。
分子の三次元構造を用いた生理活性予測法の開発
近年、人工知能技術であるディープラーニングが様々な分野における予測に革新的な成果をあげています。医療分子解析学研究室では、分子構造を直接解釈することが可能なディープラーニングの性能を十分に活かすために、分子全体の特徴を画像データとして学習させる新規な構造情報入力法「DeepSnap」を開発しました。この方法では、分子の立体構造をXYZ軸方向から撮像して画像ファイルを多数生成します。これらをディープラーニングシステムに入力することによって、各分子に紐付く多様な生理活性値の予測精度を向上させることができました。
医薬品のデータベースを用いた副作用の発症機序の解明
多様な医薬品を網羅する大規模な副作用自発報告データベースが公開されています。これらの情報源には患者背景や医薬品名とともに数百万件~数千万件規模の副作用症例情報が格納されていることから、患者、薬物、副作用間の関係を網羅的に検討することができます。わたしたちは、これらの副作用情報に医薬品の化学構造情報解析技術から得られた知見を組み合わせることによって、副作用の発症に至る原因を探索しています。このような知見は安全な医薬品の開発と使用法の確立に貢献できるものと期待されます。