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現代ではほとんどの人が関わることがない日本刀ですが、かつてはその「武力」で、近世になってからはその「魅力」で多くの人間の興味を引いています。私は日本刀を見て、様々な経歴を持つ人間がどう感じるのかを実際に話を聞くことによって調査し、集めた資料から現代の日本刀の持つ意味の側面を分析・考察しようとしています。技術が発展し、モノが身の回りに増える現代でも、かつての刀匠のわざを再現しようとする活動があり、美術品としての価値を保ち続ける日本刀。川田ゼミはそういった身近な疑問を真剣に調査できるよい環境です。

高校で学ぶ勉強は、よく理数系・文科系に二大別されます。大学に入ってもこのふたつの研究の方法は、多くの学問分野で主要な位置を占めます。しかし文化人類学は〈フィールド科学〉に依拠して研究を進めます。それは数字を扱う数量科学とも、文字で書かれた情報をもとにする文献科学ともことなり、人々の実際の活動に参加したり、インタビューの手法を用いて人々の意見や考え方を聞いたりして、人間社会の成り立ちや文化の仕組みを考える方法です。川田ゼミ生は、各自がこだわりをもってフィールドワークできるテーマを自分で設定し、卒業論文を執筆します。

フィールドワークの方法を用いて明らかにするのは、世界の文化の多様性だとよく言われます。でもそれだけではありません。留学生の海外経験、スピリチュアルや占いにハマる人々、アニメ聖地巡礼をきっかけに移住してしまうこと、地域文化の商標登録をめぐる駆け引きなどなど、ゼミ生は自分がこだわりを持ってフィールドワークができる身近なテーマを自由に設定します。そこに共通しているのは、人類は経験したことのない新奇なものに対してもそれを創造的に取り込んでいくポテンシャルをもっているということです。そのような人類の普遍的能力を、文化の多様性とともに複眼的に捉えるのが、文化人類学の魅力なのです。

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2023.02