研究内容を 大まかにまとめると

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診断におけるバイオマーカーとは、特定の病気に罹患しているとき、その濃度(量)が、病気の進行度を反映している成分です。一般的には、血液や尿中で測定される特徴的な低分子の代謝物やタンパク質が、診断に用いられています。 疾病の早期発見と薬物等による治療効果のモニタリングのために必要とされるバイオマーカーの探索と、その分析法の開発が望まれています。そこで、臨床の場において、どのような疾患のマーカーが求められているのか、そのニーズを探すところから出発し、病院や医療施設を有する研究機関との共同研究を展開しております。

神経変性疾患は、脳内における異常なタンパク質の蓄積がその病態に深く関与していると考えられています。その異常なタンパク質の形成には終末糖化産物(AGEs)の過剰な産生と蓄積が関与している可能性があります。そこで私たちは、脳内におけるAGEsの産生機構を明らかにするとともに、AGEsの産生を抑制する化合物を探索しています。特に、AGEsの産生を抑制する生体内機構として、AGEs修飾を受けたタンパク質の分解機構に注目して研究を行っています。今後、脳内でAGEsの産生を顕著に抑制する化合物が発見された場合、神経変性疾患の全く新しい治療薬の候補となる可能性があります。

1970年代に定義された‟スルファン硫黄“に注目し、30年前に、哺乳動物において、システインから生理的に硫化水素が生じるが、遊離型で存在する量は極微量で、その多くが他の硫黄原子に結合した不安定な状態として存在することを明らかにし、‟結合型イオウ”の名で定義しました。その一方で、近年、生体に存在する第三のガスとして硫化水素が世界的に注目され、その生理活性に関する多岐に渡る報告がなされています。しかし、我々は、その働きの多くは、硫化水素ガスによるものではなく、結合型イオウの働きであると考えています。現在、結合型イオウの生理的存在意義にあらためて注目し、その疾患との関わりについて解析を試みる予定です。

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2024.08