研究内容を 大まかにまとめると

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高校の化学で酸-塩基を習うように、医薬品の有効成分も酸性の薬物と塩基性の薬物があります。例えば塩基性の薬物を口から飲んだ場合、低pHの胃で一般的に溶けやすいですが、主な吸収部位の小腸へ移動するとpHが比較的高く保たれいるので薬物にとって溶けにくい環境におかれます。こういった動きのあるプロセスで、薬物が溶解度以上の濃度で溶ける「過飽和」という現象が起こることがあり、薬物の小腸からの吸収が高まることがあります。「過飽和」が誘発されたり、維持される条件を探り、また、それを可視化する試みを通じて、副作用の防止や吸収改善に役立てます(写真:薬の過飽和により黄色の発光(右側)を示す例)。

体の内外を隔てるのは生体膜です。飲み薬であれば消化管液に溶けた薬が、主に小腸から生体膜を透過して体内に吸収されます。一言で「薬が溶ける」と言ってもその状態は様々です。消化管液成分の多量の界面活性剤に取り囲まれて溶ける薬、酸塩基反応でイオン化して溶ける薬、pHの変化で薬物が「過飽和」を起こすことで分子の状態で溶ける薬。それぞれの状態で吸収のされ方が異なります。溶けた薬の様々な状態を識別して選択的に透過する膜をつくることで、吸収のされ方が異なるそれぞれの状態の薬の量を知ることができます。研究室ではナノレベルの薄さの膜、「ナノフィルム」をつくっています。

実際の消化管の中での現象は、多くの成分が共存し、また、時間と位置が関係することから、それぞれの要因の影響を明らかにすることが難しいです。研究室では人工のモデル消化管を作製して条件を設定して用いることで、一つ一つの要因について薬の溶解や吸収に与える影響を調べることで、より安全で有効な薬の治療につながります。「研究室」の話を少しすると、セミナーなどでそれぞれのテーマについて共有し、学生みんなで考える姿勢を大切にしています。また、研究室で交換留学生を受け入れて一緒に研究や活動をしたり、逆に短期留学に参加して薬学の国際交流を活発に行っています。

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